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ブルジョアさっかのファッショかについて
ブルジョア作家のファッショ化に就て
宮本 百合子
「時事新報」1932(昭和7)年1月28~30日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,808 字 · 8 页
「この山のどの杉の木より大きな杉になって見せて下さい」
天狗は忽ち数丈の杉の大木となって、百姓の前に聳え立った。百姓はその天狗の杉の幹を手で打ち叩き、打ち叩き感嘆した。
「ああ、なんと素晴らしいことじゃ。こんな見事な杉の木を見て死ねるというのは有難い」
天狗の杉は満足気に云った。
「どうだ、もういいか」
百姓は天狗に頼んで、その次にはとても、とても大きな石になって見せてもらった。
最後に百姓は天狗に云った。「これで私も日頃から見たいと思っていた大きなものという大きなものはお蔭で見られました。せめてこの上のお願いは、あなたがどの位小さいものになれるかということです。一つ罌粟の実になって、私の掌に乗ってもらえたら思い残すところはありません」
天狗は馬鹿にしきった顔で、
「ヨシ来た。俺は何んにでもなってやる」
と小ッちゃい罌粟粒になって百姓の掌に乗った。そこで百姓は自分が人間であったことを喜びながら、その罌粟粒を口に入れ、歯でよくよく噛んでこなして、翌日、糞にしてしまった。
この話を直木三十五は、いつか聞いたことはなかったのだろうか。
三
そのほかにも、ブルジョア作家のファッショ化の一形式として、一見、自由主義的な、或は復古趣味的な作品を書くことになって、ハッキリとファッショへの途を辿っている一群の