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マクシム・ゴーリキイによってえがかれたふじん

マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人

宮本 百合子

「文学評論」1936(昭和11)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,801 字 · 20 页

青空文庫

の小さい教会が、丸い赤い屋根をそのまま魚市場に使われていて、重々しく肩幅の広いヴォルガの労働者が下手なペンキの字で「サカナ」と書いた板を打ちつけた教会の入口を出入りする光景を、如何にもソヴェト的な一つの絵画として私は見た。このニージュニの街は、今日、ゴーリキイ市と呼ばれている。そしてちょうど私の行った時最終日であった有名なニージュニの定期市――ゴーリキイが十代の時分この定期市の芝居で馬の脚をやったということのある定期市も、その一九二八年が最後で閉鎖された。ペルシャやカスピ海沿岸との通商関係は進歩して古風な酔どれだらけの定期市の必要がなくなったのである。ニージュニが、その後すぐ始まった第一次五ヵ年計画によってソヴェト第一の自動車製作所を持つようになったことを知った時、私は、ゴーリキイがどんなに今昔の感に打たれたであろうかと思った。

ピリニャークのような作家は、日本へ来て芸者を見て、日本の社会における芸者というもののおかれているさまざまの経済的・社会的桎梏を一つも洞察しなかった。芸者というものを、全婦人があこがれている文化の美しい化身であるかのように書いた。