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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
くすぐったい気持だ。三千子さんが探偵趣味家だとすると、いささか捜査方針を替えなければいけないと思った。そこで今度は探偵好きの隠し相な場所を探した。そして、最初に気づいたのがイスのクッションだった」
明智はおかし相に笑った。
「ところが、驚いたのは、クッションの中に隠されていた艶書の分量だ。父親の監督不行届と、母親の遠慮勝ちだったことが一つはいけないのだが、娘自身生れつきの淫婦でなくては、あれだけのふしだらが出来るものでない。しかも両親は少しも知らないでいるのだ。日付にして二年ばかりの間に、七人の男と艶書のやりとりをしている。それが皆相当深い関係まで進んでいたらしい文面なんだ。その七人目が運転手の蕗屋だ。これは寧ろ三千子さんの方から打込んでいたらしい。写真で見ても女に好かれ相な男だ。蕗屋の方もかなり真剣な手紙を書いている。だが一方に小松との関係があるので、それを三千子さんが責める。併し蕗屋としてはそうむごいことも出来ないといった立場らしかった。蕗屋の前にもう一人男があって、この北島春雄とはその前の関係だ。手紙を読めば分るが、自業自得とはいえ、この男は可哀相なんだ。