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いちねんのけい
一年の計
佐々木 邦
「面白倶楽部」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,627 字 · 14 页
精々一週間だ。二週間と禁酒が続いたことはない。
しかし今回は細君も適度のむずかしいことを承知する理由があったので、
「然う決心して下されば、私も何より安心でございますわ」
と全然悃願的態度を取った。片岡君は禁酒から禁酒までに必ず溝へ落ちる。今度のはそれが少し念入りだったのである。身投げの決心をしても大丈夫なことは細君の保証するところだが、酔っていてお濠へ落ちたのだから危かった。深い浅いを考える余裕がなければ死んでしまうかも知れない。
「未だ決心した次第でもないんだ」
と片岡君、今回は決心からして手間を取るようだった。
「この間のようなことがありますと、私だって黙っていられませんよ」
「俺もそれを考えているのさ。あれが人通りのないところだったら確かに死んでいる。揚げて貰うまでに相応水を呑んだからね。しかしあの時死んだと思えば、これから先の命は只儲けだとも考えられる」
「人が本気で申上げていれば、あなたは管を巻いていらっしゃるのね?」
「勝手にしろと来たか?」
「いゝえ、然うは申上げられませんよ。それは、あなたはお好きなお酒と心中なされば御本望でございましょうが、後で私が困りますよ。