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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页
寝る時は、シュラーフ・ザックを二重にして、その中にもぐり込む。このテントは、もちろん雪の上に建てて、丈夫な綱でとめただけである。テントとかぎらず、どんな工事でも、基礎をつくることはできない。岩盤まで達しようと思うと、七千フィートの柱を建てる必要がある。基礎がなくても、このテントはあんがい丈夫で、今夏も一度百ノットの風が吹いたが、それでも吹き飛ばなかった。
気温は、夏の間は、あんがいに温い。天気がよくて、美しい巻雲が青空を飾っている日が、四、五日か一週間くらいつづく。この間は零下数度という程度である。太陽は夜昼なく、天空をぐるぐる廻っているが、「夜」は少し高度が低くなり、気温もちょっとさがる。こういうよい天気のあとには、必ず暴風雪がやってきて、それが四、五日つづいて、またよい天気になる。気象の変化には、かなり規則正しい週期性がある。暴風雪の時も、気温は零下十度程度で、そうひどく寒くはならない。恐ろしいのは風であって、いったん吹雪いてくると、十フィート先も見えなくなる。宿舎と研究室との間は、ウィーゼルという小型雪上車で往復するのであるが、百ノットの風が吹いた日は、危く道を失うところであった。