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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

住居の問題

例えば城内の支那人街の店へはいって見ると、間口が狭くて薄汚く見えるにもかかわらず、奥行はずっと深く、そして商品が店一杯に詰っている感じであった。こういう店と、新市街の表通りにある日本人の大商店とを比較して、その経常費の差を調べて見たらというようなことも考えられた。

街路にはこの頃急に普及した自転車洋車が氾濫して、それが自動車に代って立派に交通機関の役目を果していた。奉天のように、土地が平らでアスファルト鋪道の街では、この洋車は乗心地もよく、バスに匹敵するくらいの速さで楽に走っていた。その苦力は一日六円の収入になるそうであるが、乗っている街の日本人の顔色を見ると、その大半は一日六円の収入はないのではなかろうかとつまらぬことが気になった。

官吏とか大会社の社員とかいう、日本の国力を背景に持った人たちのことは心配する必要もないが、対等の条件で、人間と人間とが生活の上で競争する日のことも、永い将来を思うと十分よく考えておくべきであろう。

住居の問題

奉天の満鉄の社宅は、壁が煉瓦で、中は畳敷の日本間になっている。そして上等な社宅では、煖房としてスチームが採用され、一戸建ちで広い庭もあるような家を数軒纏めて、一つのボイラーから蒸気が送られるようになっている。