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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页
ところがこの美術史の教授には、冬の山登りという道楽があった。リノの近くにローズ山という美しい山がある。標高一万五百フィートというかなり高い山である。それがチャーチ博士の愛好した山であった。ローズ山及び附近の冬山を歩いているうちに、博士はこの山岳地帯の雪が、夏のネバダ州の一部を養う水となっていることに着目した。そして今日採雪器と呼ばれている測定器を考案して、遂に「積雪水量測定の父」となったのである。
採雪器などといっても、別にむつかしい器械ではなく、直径五センチくらい長さ一メートルほどのデュラルミンの筒である。それを何本も螺子でつぎ合わせて、深い積雪の層に挿し込み、ボーリングと同じやり方で雪を採るようになっている。このようにして採った雪の目方を測ると、雪を水に直した量、即ち積雪水量が計算される。この積雪水量を一つの流域の各地点で測定すると、その流域全体に積っている雪が何億トンあるかが分るわけである。
この雪は春になるととけて、そのかなりの部分が川に流れ出す。それで春さきから夏にかけて川に流れ出て来る水量は、その流域全体の積雪水量できまるわけである。