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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

アラスカなどでぶらぶら遊んでいたのが悪かったのである。

ところが十二日はカリフォルニア大学に顔を出す手配をしていたので、とうとうきりきりのところ十三日の午後リノへ着いた。桑港リノ間は、飛行機ならば一時間四十五分である。ところで困ったことは、少し慾張って方々見て歩いていたので、講演の原稿を作るひまが全然なかったことである。おまけにリノへ着いたら、明日は午前中と午後と二回、工学部の河川や積雪水量関係の人たちにクラス講義をして、引つづいて夜は公開講演という手順になっていると申し渡された。講義や講演はなるべく早く済ませて、あと研究室とネバダ山中の雪の研究所とをゆっくり見る時間を取っておいた方がよかろうという親切心から出た話なので、苦情のいいようがない。日本で準備してこなかったのが、いけないのである。

不心得はこちらにあることはよく分ったが、いくら心臓が強くても、何を話していいかまだ考えてもいなかったので、この親切は全く身に沁みた。十三年越しの懸案であるチャーチ博士との初会合という感激のシーンも、これで一遍にふっとんだ形である。

今度は「大学のお客」という形で、リンカーン・ホールという建物に泊ることになっていた。