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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页
明日の準備をしたいからといって、晩餐後少し早めに切り上げてホールへ帰った。そしたらこの建物に泊っている夏期大学の学生の一人が、ネバダ夕刊をもってきてくれた。見ると「東洋芸術の講演、木曜の晩、大学にて」という見出しの記事が出ている。
これには御本人の私が思わず吹き出した。ことの起りは、こうなのである。チャーチ博士から、ずっと以前に、東京の方へ手紙が来て、「君がこちらへ来たら、クラス講義の外に、夜の公開講演も頼みたい。パイ・ベーター・カッパの主催にするが、その時東洋芸術についても、一言か二言ふれて貰えないか」という意味のことが書いてあった。前にいったように、先生自身美術史の教授であったから、つい積雪水量測定と芸術とを混同する癖があるらしい。
初めにこの手紙を見た頃は、そんな癖があるとは夢にも知らなかった。夜の公開講演といえば、社交的な意味もあるので、あまり堅い話だけでも困るのだろう、何か一言東洋芸術らしい話を、まくらにでもつけたらいいのだろうと軽く考えた。それですぐ承知の返事を出しておいた。ところがこの新聞記事である。これには全く狼狽した。よく読んでみると、雪の話をするとも書いてあるが、新聞の読者は、たいてい見出ししか見ないから、「東洋芸術の講演」