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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

例えば農学方面などでは、ある時刻の気温よりも、むしろある期間の気温を積算した値の方が大切な場合が多い。それで普通の寒暖計よりも、温度を加え得る測器、即ち積算温度計がもっと役に立つであろう。農業物理学というような学問を創立するには、こういう計器の考案からはいるべきであるというのが、その一例である。この積算温度計は、たいへん巧く出来ているので、大分好評を博したようであった。

水文学の方にも同じような例がある。例えば洪水の研究に、気象学者の使う自記雨量計は、あまり意味がない。普通の自記雨量計は、自記とはいっても、大抵は一日捲きで、人がついていないと役に立たない。それよりも一か月間くらい山奥の豪雨地帯に放置することが出来、かつ一雨ごとの全降水量を自記するものがあれば、非常に都合がよい。そういうものも、やはり今までには出来ていない。それで北大物理教室の菅谷重二君が最近考案した洪水研究用自記雨量計の話をした。これは今日の聴衆には、一番直接に関係があるので、たいへん興味があると喜ばれた。硝子筒の雨量計に、硫酸を少し入れておくと、雨が降り込んだ時に稀硫酸が出来る。