轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
「さようにござりまする」
憎いほど落ちつき払った越前守の声に、お側御用お取次ぎ高木伊勢守などは、まずほっとしてひそかに汗のひくのを感じた。
「うむ。どうだな?」
「恐れながら申しあげまする――上には、よほど以前のことでございまするが、忠相が伊勢の山田奉行勤役中、殺生厳禁の二見ヶ浦へ網を入れました小俣村百姓源兵衛と申す者の伜、源蔵という狂人によく似ていられまする」
狂者にそっくりとはなんという無礼!
と理由を知らない左右の臣がささやき渡ると、
「そうか。源蔵に似ておるか」
にっこりした吉宗、御簾の中から上機嫌に、
「小俣村の源蔵めも、そのほうごときあっぱれな奉行のはからいを、今さぞ満足に思い返しておるであろう……これよ、越前、こんにちをもって江戸おもて町奉行を申しつくる。吉宗の鑑識、いやなに、源蔵の礼ごころじゃ。このうえともに、な、精勤いたせ。頼むぞ」
「はっ、おそれ入り――」
と言いかけた忠相のことばを切って、音もなく御簾がおりると、そそくさと立ちあがる吉宗の姿が、夢のようにすだれ越しに見えたのだったが……。
かつて自分が叱りつけた源六郎さま。
それがもうあんなりっぱに御成人あそばされて――お笑いになる眼だけがもとと変わらぬ。