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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
ええッ! まあ! と思わずはじけ反るお艶に、お藤はそばから手を添えて、
「じぶんで乗りこんで、いいたいことを存分に言ってやるがいいのさ。今からあたしが案内してあげよう!」
一石二鳥。源十郎への復讐にお艶を逃がし、左膳への意趣返しには弥生のいどころを知ったお藤、ひそかに何事か胸中にたたんで、わななくお艶をいそがせて庭に立ったが、まもなく化物屋敷の裏木戸から、取り乱した服装の女性嫉妬の化身が二つ、あたりを見まわしながら無明の夜にのまれ去ると、あとには、立ち樹の枝に風がざわめき渡って、はなれに唄声がわいた。
杯盤狼藉酒池肉林――というほどの馳走でもないが、沢庵の輪切りにくさやを肴に、時ならぬ夜ざかもりがはずんで、ここ離庵の左膳の居間には、左膳、源十郎、仙之助に与吉。
赤鬼青鬼地獄酒宴の図。
「おいッ! 源十、源的、源の字、ああいや、鈴川源十郎殿ッ! 一献参ろう」
左膳、大刀乾雲丸を膝近く引きつけて、玉山崩れようとして一眼ことのほか赤い。
「す、鈴川源十郎殿、ときやがらあ! しかしなんだぞ、ううい、貴公はなかなかもって手性がいいや、こうつけた青眼に相当重みがある。