轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
客――でもないが、鍛冶屋富五郎が来ているあいだに、ちょっと家のまえの往来でも掃いておこうと、喜左衛門の女房は箒を持って表へ出た。
いいお天気。
日の光が町全体に明るく踊って、道ゆく人の足もおのずから早く、あわただしい暮れの気分を作ってるなかにも、物売りの声がゆるやかに流れて、徳川八代泰平の御治世は、どこか朗らかである。
歳の市へ、伐り出した松を運ぶ荷車が威勢よく駈けて通る。歳暮の品を鬱金木綿の風呂敷に包んで首から胸へさげた丁稚が浅黄の股引をだぶつかせて若旦那のお供をしてゆく。
「おばちゃん……」
という声に振り返ると、長屋の由公がお袋に手をひっぱられて横丁の人混みに消えるところだった。その母親の白い顔が笑って、何かそそくさと挨拶をしたようだった。
泣いても笑ってもあと何日――町へ出てみると、しみじみとそんな気がするのだった。
そうだ。気は心だからあの児へ何かお歳暮をやらなくちゃあ……女の子達には出ず入らずで一様に羽子板がいいけれど、腕白にはやはり破魔の弓かしら?
こんなことを考えて、何度も腰をのばしながら、喜左衛門の女房はせっせと格子の前を掃いている。