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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
髑髏の譜
「ねえ三間町さん、ホホホホ、もうよしましょうよ、鬼ごっこみたいなこと」
と、われから鍛冶屋富五郎のふところに身を投げて擦りよると、富五郎は、短い太腕にお艶を抱きすくめて、その影がぼうっと大きく障子にうつったのだ。
同じ一枚の障子に映ずる黒かげ――ではあるが、戸外から見上げる栄三郎と、内部にあって自ら眺めるお艶と果たしてどっちがいっそう苦しくつらかったであろうか。
髑髏の譜
長閃! 月光に躍る白蛇のごとき一刃、突如として伸びきたると見るまに!
声もなく反りかえって路上に転倒したのは、ひとり先に立った月輪剣門の士法勝寺三郎だった。
三郎、相馬藩内外に聞こえた強力豪剣ではあったが、機を制せられてひとたまりもなく、まっくろな血潮の池が見る見る社庭の土に拡がって、二、三度、けもののようなうめきとともに砂礫をつかんだかと思うと、そのまま――月のみいたずらに蒼白く死の這い迫る顔を照らした。
間髪!
いま、瓦町へ向かおうと、ついそこの料亭を出て来たばかりの乾雲丸丹下左膳を取りまく一同、まだ八幡の庭を半ばも過ぎないうちに、つぶてが飛来するようにいきなり横合いから斬りこんで来たこの太刀風に、命知らずの者がそろってはいるのだが、さすがに度胆を奪われてコレハッ! と歩をとめながらいい合わしたように腰を低めて先方の薄闇をのぞきこむ