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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

夜は月のしずく。

そうして。

八幡の宿。

王井。

畦戸の浜。

大貫。佐貫の村々。

富田岬をかわして、安房の勝山、走水。

観音崎から、那古、舟形。

三崎……城ヶ島。

このあたりのたびたびの通り雨、両船にて、茶碗、盥等、あらゆる凹器を持ち出し、あま水を受く。飲料なり。

それより北条の町の灯。

九重安信神社の杉森。

野島崎。しらはま。和田の浦。江見。安房鴨川。東浪見――。

そと海に出て、九十九里浜。

松尾。千潟。外川。

屏風ヶ浦より犬吠。

飯沼観音のながめ。

大利根を左、海鹿島を右に、鹿島灘へ出て銚子、矢田部。

北上して――。

大洗から磯浜、平磯、磯崎……磯前神社あり。

つぎに阿漕、松川磯の小木津。

関本。勿来。小名浜。江名。草野。四ツ倉。竜田。夜の森。浪江。

このへんより松川浦にかかって小高、原の町、日立木の漁村つづき。

仙台湾。

名にし負う塩釜神社に近く、右手の沖は、鮎川のながれを受ける金華山。

怒濤……。

江戸を出て九日目の夕ぐれだった。

午すぎからあやぶまれていた空模様は、夜とともに大粒な雨をおとして、それに風さえくわわり、二つの船は見るみる金華山沖へ流れていったが!