轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

「そう、検査だったの。もうね」

涙のしぜんとにじみだす目に五人の姿はぼやけた。いつまでそうもしておられぬと気づくと、きゅうに昔の先生ぶりにもどり、

「さ、いってらっしゃい。そのうち、みんなで一度、先生とこへきてくれない」

それでいかにも男の子らしくあっさりと離れてゆくうしろ姿を、さまざまの思いで見おくりながら、久しぶりにじぶんの口で「先生」といったのが、なんとなく新鮮な感じで、うれしかった。

ふりかえると、年よりは茶店の横の日だまりに塵をよけてまっていた。日あたりのよい生垣の一か所に蕾をつけた山吹がむらがり、細い枝は蕾の重さでしなっている。その一枝を無造作に折りとり、年よりもまた若者たちを見おくりながら、小さい声で、

「えらいこっちゃ。あやってにこにこしよる若いもんを、わざわざ鉄砲の玉の的にするんじゃもんなあ」

「ほんとに」

「こんなこと、大きい声じゃいうこともできん。ゆうたらこれじゃ」

ランドセルをもったまま両手をうしろにまわし、さらに小声で、

「ほれ、治安維持法じゃ、ぶちこまれる」

歯のない口にきゅうに奥歯がはえたような気がするほど若がえった口調だった。