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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
もう起きあがろうとはしない。やがて、目をつぶったまま、
「だれか、男先生、よんできて。おなご先生が足の骨折って、歩かれんて」
蜂の巣をつついたような大さわぎになった。大きな子供たちがどたばたかけだしていったあとで、女の子はわあわあ泣きだした。まるで半鐘でも鳴りだしたように、村中の人がとびだして、みんなそこへかけつけてきた。まっさきにきた竹一の父親は、うつむいてねている女先生に近よって、砂の上にひざをつき、
「どうしました、先生」
と、のぞきこんだ。しかし、先生は顔をしかめたまま、ものがいえないらしい。子どもたちからきかされて、足のけがだとわかると、少し安心したようすで、
「くじいたんでしょう。どれどれ」
足もとの方にまわり、靴をぬがせにかかると、先生は、うっと声を出してますます顔をしかめた。靴のあとをくっきりとつけて、先生の足くびは、二倍もの太さになったかと思うほどはれていた。血は出ていなかった。
「冷やすと、よかろうがな」
もう大ぜい集まってきている人たちにいうと、徳田吉次のお父つぁんが、いそいでよごれた腰の手ぬぐいを潮水にぬらしてきた。
「いたいんですかい、ひどく?」