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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
それだけに噂は村中にひろがり、てんでにかってなことをいいあった。
「芝居がきたというから、行ったんじゃないかな」
「銭もないのに、どうして」
「のぼりやかんばんでも、口あけて見よるかもしれん」
「子どもっちゃ、ものずきなことやの」
一年生の家の者も今は半分笑顔で話しあった。
「いんま、腹へらして、足に豆こしらえて、もどってくるわいの」
「どんな顔して、もどってくるかしらん。阿呆くらいが」
「もどったら、おこったもんかいの、おこらんほうがよかろうか」
「ほめるわけにゃ、いくまいがのう」
こんなのんきそうなことがいえたのも、ソンキの兄や、仁太や富士子の父親たちが迎えに出むいた安心からであった。それにしても、だれひとり大石先生を思いださなかったとは、なんとしたうかつさだったろう。
三人の出迎え人は、本村にさしかかると、これはと思う人に行きあうたびにたずねた。
「ちょっとおたずねですがな、お昼すぎごろに、七八つぐらいの子どもらが十人ほど通ったのを、見ませなんだかいな」
同じことを何べんくりかえしたろう。
そこで、子どもたちはどうしていたろう。
藪の上へまっさきについたのは、いうまでもなくコトエだった。