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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

コトエはそこで、草むらに学校の包みをかくして、みんなをまった。吉次とソンキが先をあらそうように走ってきた。つづいて竹一と正と。いちばんおくれてきたのは富士子と仁太であった。仁太は用心ぶかく、シャツやズボンの四つのポケットを、そら豆の煎ったのでふくらましていた。家にあっただけみんな持ってきたのだという。それを気前よくみんなに少しずつ分けてやりながら、いちばんうれしそうな顔をしていた。ぽりぽりいり豆をかみながら一行は出発した。

「おなご先生、びっくりするど」

「おう、よろこぶど」

コトエひとりは先頭に立ってみんなをふりかえった。走っていって走って帰るはずなのに、だれもかれものんびりと歩いていると思った。行けばわかるのに、みんな口ぐちに女先生のことばかりいっている。

「おなご先生、ちんばひいて歩くんど」

「おなご先生の足、まだ痛いんかしらん」

「そりゃ痛いから、ちんばひくんじゃないか」

するとソンキは、ちょこちょこと前にすすみ、

「な、みんな。アキレスはここじゃど。この太い筋が、切れたんど」

じぶんのアキレス腱のあたりをさすってみせ、

「こんなとこがきれたんじゃもん、痛うのうて」