轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にかいから

二階から

岡本 綺堂

「木太刀」1915(大正4)年3、7、8、9月、1916(大正5)年1、4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,761 字 · 30 页

青空文庫

彼女が陰った顔をしているのも無理はなかった。そんなこととは知らない私は、随分大きな声で彼女を呼んだ。遠慮なしに用をいい付けた。私は思い遣りのない主人であった。

それでも彼女は幸であった。彼女が奉公替をしたということを故郷へ知らせて遣った頃から、両親の心も和らいだ。子まで生したものを今更どうすることも能まいという兄たちの仲裁説も出た。結局彼女を呼び戻して、男に添わして遣ろうということになった。そう決ったらば旧の盂蘭盆前に嫁入させるが土地の習慣だとかいうので、二番目の兄が俄に上京した。おたけは兄に連れられて帰ることになったのである。

勿論、暇をくれるという話さえ決れば、代りの奉公人の来るまでは勤めてもいいとのことであったが、私たちはいつまでも彼女を引止めておくに忍びなかった。嫁入仕度の都合などもあろうから直に引取っても差支ないと答えた。彼女は明る日の午後に去った。

去る時に彼女は二階へ上って来て、わたしの椅子の下に手を突いて、叮寧に暇乞いの挨拶をした。彼女は白粉を着けて、何だか派手な帯を締めていた。

「私の方ではもっと奉公していてもらいたいと思うけれども、国へ帰った方がお前のためには都合がいいようだから――。