轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひとでなしのこい

人でなしの恋

江戸川 乱歩

「サンデー毎日」大阪毎日新聞社、1926(大正15)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,245 字 · 33 页

青空文庫

でも最初は、土蔵の中が怪しいなどとハッキリ考えていた訳ではなく、疑惑に責められるまま、たった一人の時の夫の姿を垣間見て、出来るならば迷いを晴らしたい、どうかそこに私を安心させる様なものがあってくれます様にと祈りながら、一方ではその様な泥坊じみた行いが恐しく、といって一度思い立ったことを、今更中止するのは、どうにも心残りなままに、ある晩のこと、袷一枚ではもう肌寒い位で、この頃まで庭に鳴きしきっていました、秋の虫共も、いつか声をひそめ、それに丁度闇夜で、庭下駄で土蔵への道々、空をながめますと、星は綺麗でしたけれど、それが非常に遠く感じられ、不思議と物淋しい晩のことでありましたが、私はとうとう、土蔵へ忍びこんで、そこの二階にいる筈の夫の隙見を企てたのでございます。

もう母屋では、御両親をはじめ召使達も、とっくに床についておりました。田舎町の広い屋敷のことでございますから、まだ十時頃というのに、しんと静まり返って、蔵まで参りますのに、真っ暗なしげみを通るのが、こわい様でございました。その道が又、御天気でもじめじめした様な地面で、しげみの中には、大きな蝦蟇が住んでいて、グルルル……グルルル……といやな鳴き声さえ立てるのでございましょう。