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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

小栗虫太郎『人外魔境』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人外魔境、人外魔境、人外魔境、人外魔境。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,713 字 · 205 页

青空文庫

原人、類人猿、象もそうだろう? 彼らが、死期をさとって森の墓場へゆこうとするときは、まったく本能的に帰郷の意志がなくなるという――座間の明快な推測であった。

しかし、そういう座間が、淋しそうに微笑んでいる。恋の空骸が、死をもとめるかわりに未踏地をえらんだのだろう。やがて、カークとのあいだにかたい盟約が成りたった。

ところが、そのことをマヌエラに話すと、意外にも彼女が一緒にゆこうと言いだしたのだ。犠牲が、ねがう幸福のほうに、マヌエラを向けようとするとき、意外にも、それを蹴って敢然とゆくという。座間はすっかり分らなくなってしまった。

間もなく、マヌエラのあとを蛇のように追う、ヤンを加えドドを連れて、まずさいしょの根拠地となるコンデロガへ発ったのである。

「ちかごろ、七郎はどうしちまったのよ」

話があると、マスカの実が地上に垂れさがっている陰へ、マヌエラが座間を呼びこんだ。雨期あけの灼りつけるような直射のしたは、影はすべてうす紫に、日向の赭土は絵具のように生々しい。それがコンデロガを発つ探検第一日の前日だった。

マヌエラは、胸に飛びこみたい衝動を抑えているように、ぱちぱちと伏目で瞬いている。