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じんせいあんない
人生案内
「キング 第三〇巻第一一号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,201 字 · 21 页
すると二時間ちかい穴ができる。これがよくなかった。
同じ方向へお竹と一しょに同じバスで帰る仲間が二人あった。セツは戦争未亡人の大年増であるし、ヤスはお竹と同い年の近年夫婦別れしたヤモメであった。だいたいここの仲居に若い娘は少ないのである。
セツとヤスはバスに乗りおくれるとナジミの客をさがしたり呼びだしたりして一時のバスまで小料理屋なぞで一パイおごらせる。場合によってはネンゴロになりすぎてバスにのらずにお客と消え失せてしまうようなことが少くないタチで、一しょにつきあってたお竹は一人とり残されたり他のお客にしつこく口説かれたりすることが度重なった。
「なにさ。私には主人がありますなんてタンカをきるのも程々にしなさいよ。なにが主人よ。あんなデコボコ。女房を働かせて自分はウチにゴロゴロしてさ。原稿用紙睨んでるのはいいけれど、小説でも書いてんのかと思ったら、人生案内の投書狂だってね。そんなの聞いたことないよ。私にはA子という婚約者がありますが、たまたま宴会に酔っての帰り友に誘われて泊った赤線区域のB子のマゴコロを知り忘れがたくなりましただってさ。読ませてもらってふきだしたよ。