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じんせいあんない
人生案内
「キング 第三〇巻第一一号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,201 字 · 21 页
新聞で読者の最も多いのは「人生案内」とか「身上相談」という欄だそうだ。
ところがここへ人生の案内を乞う投書は案外ホンモノが少くて、一ツこんな問題で投書してみようなぞと勝手な悩みを創作して投じるのが少からぬそうで、担当の記者には一見してそれと分るけれども、この方がホンモノよりも手ごろでまた面白いので、ニセモノと承知でとりあげてしまう。なぜなら、悩みの解決がこの欄の目的ではなくて、紙面随一の読み物だからだ。毎日それぞれ変化あり手ごろにたのしめる読み物でなければならないから、案内役の先生方にも変化をつけてハッキリしたのや勇敢なのやメソメソしたのや叱りたがるのや品数を取りそろえる。この先生はどうも男では面白くないようだ。人生もろもろの悩みに光明をたれジュンジュンと説き来り説き去るのが鼻ヒゲいかめしい大先生や頭をまるめた大先生では花がない。ツヤもない。女の中先生であるところに千両の値打がある。色気というものが大切だ。だからヒマな野郎どもが筆蹟に苦労しながらニセモノの煩悶を書き綴る気持にもなるのであろう。
田舎の小さな町に数年来この投書に凝っている男があった。