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じんせいあんない
人生案内
「キング 第三〇巻第一一号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,201 字 · 21 页
あれで三十八だってね。変なのと一しょにくらしているもんだわよ。あんな亭主に義理立てなんて人間の女がやることじゃアないわよ。雑種の犬とか青大将かなんかがあれでも主人と思って義理をたてる場合があるぐらいのものだわよ。あれ以下の人間なんていやしない。義理立てなんて止しなさいよ。お客と泊ってお金もうけした方がどれぐらい利巧か知れやしない」
ある日ヤスが酔っ払って、たまりかねて、こうまくしたてた。ヤモメのヤキモチと見てやりたいが、実は必ずしもそうではない。山田虎二郎という存在がめッたに見かけられない珍種らしいということはお竹がちかごろめッきり感じはじめていたからであった。
お竹は毎月五千円だけ家へ入れている。あとは自分の身の廻りの物やコヅカイに使い、また子供にも時々何かを買ってやったりしているが、虎二郎は父と子供二人の生活費五千円の十分の一で新聞を購読し、朝から夜更けまで余念もなく人生案内の投書をアレコレと思い悩み書き悩んでいる。
おまけに近来鼻下にチョビヒゲをたくわえるに至った。
パチンコに凝るとか競輪に凝るというのもこれも始末にこまるであろうが津々浦々に同類があまたあってその人間的意義を疑られるには至らないが、当年三十八の人生案内狂、ついにチョビヒゲを生やすという存在はいかにも奇怪だ。