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ものをこわすのがしょうばいじけん
什器破壊業事件
海野 十三
「大洋」1939(昭和14)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页
「うむ、僕は満足です。貴女なら、きっとうまくやるだろう」と、帆村はもとの冷い顔になって、しきりにひとりで肯いて、
「――さて、貴女に頼みたい仕事のことなんですがね。或るお屋敷で、主人公が小間使をさがしているのです。尤も、前にいた小間使の娘さんは、僕が買収して、親の病気だと申立てて辞めさせたんです。そこで後任の小間使が要るわけだが、ぜひ貴女にいって貰いたいのです」いよいよ帆村は、こうまで彼女に手間どれた重大事件について語りだした。
「ねえ、ようがすか。そのお屋敷は、最近建てたばかりの洋館です。貴女は今もいったとおり小間使だが、こんど主人公の希望に従って、貴女は洋装をしてもらわねばならない。明朗な娘になるのです。いま国策で問題になっているが、これも仕事のうえのことだから、ひとつ思い切って猛烈なパーマネントに髪を縮らせてください」
光枝は、最初はなにいってるかと思って聞いていたが、聞いているほどに、だんだん興味を覚えてきた。これはなかなか念のいった冒険劇のようである。
「そこで、向うへいって貴女のする仕事だが、もちろん小間使なんだから、インテリくさい顔をしてはいけない。