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ものをこわすのがしょうばいじけん

什器破壊業事件

海野 十三

「大洋」1939(昭和14)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页

青空文庫

「えっ、いつそんなことをお測りになりましたの」と、光枝は思わず愕きの声をあげた。

科学探偵の腕

帆村探偵は、一向平気な顔で、

「これは内緒ですが、貴女も探偵だからいいますが、僕のところでは、訪問者が入口のところに立ったとき、自動的に身長を測ることにしています。もちろん光電管をつかえば、わけのないことです。あの入口の上をごらんなさい。一・五七と、まるでレジスターのような数字が幻灯仕掛で出ているでしょうが」

「えっ、まあそんなことが……」光枝がふりかえると、なるほど入口の上の壁紙に、一・五七という数字がでている。

「こうすれば、消えます」なにをしたのか、帆村がそういうと、数字はぱっと消えた。まるで魔術を見ているような塩梅だった。なるほど帆村探偵という人は変っていると、光枝は感心した。

「貴女は内輪の人だから、もう一つこれも御なぐさみにごらんにいれるかな。さあ、この写真はどうです」そういって帆村は、手にしていた水のまだ切れない三枚の細長い写真の表をかえして、光枝の方に押しやった。

「あら、まあ!」光枝は、自分でも後で恥かしいと思ったほど、頓狂な声を出した。なぜといって、帆村がさしだした三枚の細長い写真には、表情たっぷりな光枝の半身像が五六十個も連続的にうつっているのであった。