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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

わしはただこの紙に記されてあることを忠実に遂行することを上役から命じられたにすぎない。

俊寛 われわれ三人は同じ罪によって、同じ日にこの島に流されたものだ。二人だけを都へ帰して、一人だけを残すというのは法にかなわない処置ではありませんか。

基康 あなたの訴えは正しいかもしれない。しかしそれはこの命令を発した人に向かって言われるべきだろう。

俊寛 清盛はなぜ特別にわしを憎むのだ。わしから二人の伴侶を無慈悲に奪い去ろうとするのだ。

基康 それはわしからききたいくらいだ。

俊寛 刑には理由がなければならない。その理由を示さずに、ただわしだけに重い刑罰を課するのは非法ではないか。

基康 あなたの申し立ては道理でもあろう。しかしわしはそれを裁く権利を持っていないのだ。

俊寛 あなたは悪い人ではないようだ。わしはあなたに乞う。わしを都へ連れて帰ってください。

基康 わしはあなたに何の憎みもない。わしはお気の毒に思う。もしわしにとがめがかからないものなら、わしは連れて帰ってあげてもいいのだが。

俊寛 もしあなたがそうしてくれたら、わしは十倍にしてきっとあなたに報います。

基康 (考える)どうもわしの身に難儀がかかりそうだ。