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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
そうしたわけで私はこの事件を感情的には支持したが、考えて見れば、色々な疑問が群起するのであった。
それは正義と力というものとの関係に就いてであった。
第一に吉本君が立たなければ、横田君の二週間の停学に価する罪は咎められずに済んだのだという奇怪な事実である。撲られたという被害によって、罰が生ずるわけはない。しかるに事実は撲った吉本君等を罰しなければならないところから、その釣り合い上横田君らの罪悪がとりあげられたのだ。横田君たちを処罰しないで、吉本君らのみを罰するなら全級が同盟休校すると主張したからだ。その結果双方が、喧嘩でなくして、リンチであるから、横田君らは撲られただけであるにかかわらず、同じ二週間の停学というのも私には正しい裁きとは受けとれなかった。それなら校当局は何故二週間の停学に価する横田君らの行為をこれまで見逃して来たのであろうか。私の正義感は満足しなかった。
そこにはどうしても力が正義を左右するという事実を見ないわけに行かなかった。横田君らの如く正義をくらますためにも、吉本君らの如く正義を貫くためにも力が必要であったのだ。そして私たちに倫理を教えるところの校長はじめ先生達もその力に左右されたのだ。