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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
何が残酷と言っても、年少の好学の子弟を、学芸への燃えるような愛と、立派にのびる才分とを持ってるのに、学問の道から拒む貧困ほど不合理なものはない。これはまったく生命の権利、文化の権利に反する社会の罪悪である。本人はあきらめても、あきらめかねる苦痛になやむに相違ない。
「僕は東京に行って来たんだよ。ほんの一カ月だけ。ある商店へやられたんだが、つまらないから、四十七士の墓だけ参詣して、逃げて帰ってしまったんだよ。それから今の塾へ、おやじにねだって、やってもらってるのさ」
友の言葉が頭にこびりついていた。これは私のまだ知らない現実の世界であった。
が石畑君はその後独学して、検定をとって、六高に入り、大学を経て、高文もパスし、今は満鉄にいるという通知が来た。
志のあるものは何とかして貫くものだ。そしてその志は双葉の時から、もう香ばしく芽を出しているものだ。
藤久真吾という子がいた。これもやはり一里半はなれた田舎から通っていた。自作農の子で、兄は農学校を出て技師をしており、二人の姉さんは広島の師範学校を出ていた。この子は腕白で頭の骨が冑のように硬く、肋は一枚あばらという健康児であった。