轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
へいほうしゃ
兵法者
山本 周五郎
「新武道」1944(昭和19)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,184 字 · 16 页
「…………」「いとまを遣わすと申したのはそこを悟らせるためであった、しかるにかれは退国したという、おれはそのまま他国へやってはならぬと思った、自分で悟らぬなら申し聞かせてやろう、それが僅かなりとも主従の縁をむすんだよしみだ、そう思って呼び返したのだが、かれはその旨を聞くと顔色を変え、即座に腹を切ったという、……顔色の変ったのはおそらく自分の過ちを悟っていて、おれの前にみれんな姿をさらしたくなかったからであろう、……それくらいの覚悟はある男だった、そのほうたちの復命を聞いてそうだろうと申したのは、その覚悟がすぐにわかったからだ」なにか感慨がこみあげてきたかのように、そこで光圀はふと言葉をきって眼をつむった。
幾右衛門はああそうだったのかと思いながら、からだじゅうの神経がするどくひき緊るのを覚えた。さっき光圀は、自分が若かったからむざんな事をした、と云った。それはそのような方法でなにがしを試みたことが今は心をいためるのに違いない。しかし果してそれがむざんな事だろうか、――さむらいの生き方のきびしさは、きびしさが常のものになりきることだ。光圀その人でさえそのように自戒しているではないか。