轻松读懂日语经典作品
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しょや
初夜
山本 周五郎
「週刊朝日春季増刊号」朝日新聞社、1954(昭和29)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 页
――政治に口を出すことは法度である。
妄動は内紛のもとだからきっと慎め、と厳重に戒告されたのであった。
久良馬は沈黙した。そして、なおしげしげと代二郎を伴れて湯の山がよいを続けた。十五人ばかり集まっていた同志も解散したが、これは隠密に連絡がとられていたらしい。久保貞造、板土友次郎、丸茂源吾らの三人が、ごくときたま湯治宿でいっしょになった。代二郎が警戒するような顔をみせても、久良馬はいつも先手を打って話を避けた。
――いいから今夜こそ男になってみろよ。
などというのである。道楽は若いうちにすべきだとか、道楽の経験のない者は半人前の価値しかないとか、また代二郎が遊ばないのは、生娘が初夜をおそれるようなもので、そこを踏み越えればなんでもなくなるのだ、などというのであった。
――初夜といえば、おれは妻を娶るときに考えたのだが、女が嫁にゆく勇気というものはすばらしいな。
久良馬はあるとき卒然と云った。
――生れた家を出て、育てられた親や兄弟姉妹と別れて、殆んど見も知らぬ他人の生活の中へ入ってゆく、どんな運命が待っているかもしれない「初夜」の帳の中へ、なんの経験もない少女がただ一人で敢然と入ってゆく、この勇気はすばらしいものだ。