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じゅうはちじょうおつ

十八条乙

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,127 字 · 26 页

青空文庫

「これで済むのでしょうか」とあやは心もとなげにきいた、「それともなにかお咎めがあるのでしょうか」

「ここではっきり断わっておくが、この話は口にしないことにしよう」と庄兵衛は自分にはらを立てているように云った、「私はふだんから政治には関心をもたなかった、祖父に壱岐どの騒動の話を聞いてから、藩内の権力争奪のみにくさといやらしさに、少年ながらうんざりしたものだ、政権の争いはしたいやつがすればいい、私は自分の勤めだけに専念するときめた」

こんどの出来事も好んでしたわけではないし、紛争の内容は知らない。罪に問われるかもしれないしこのままで済むかもしれない。いずれにもせよ西条一家には関係のないことだから、今後どんなことがあってもこの話はしないことにする。もし罪せられるようなことになったら、避けがたい災難だったと諦めるだけだ。庄兵衛は怒りを吐きだすような口ぶりでそう云った。

雪の中で年があけ、正月になった。そのとき藩主下総守詮芳は江戸にいたが、藩主不在のときでも、三日には祝儀のため登城しなければならない。謹慎するようにと云われたのが正式の申し渡しなら登城はできないが、内意ぐらいだったとしたら登城しなければ咎められる。