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じゅうはちじょうおつ
十八条乙
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,127 字 · 26 页
五
抗弁や異議の申し立てなどはむろんできない。庄兵衛が下城すると、大目付の者がついて来て、裏門を閉め、青竹を打った。閉門蟄居となれば家士も置けないし、西条家の身分では召使も一人ときまっていたから、下僕加助のほかはみな暇をやった。
「さて、島流しになったわけか」庄兵衛は皮肉に笑って云った、「こうなってみると、伊原の無事を祈り、その計画というのが成功するように祈るほかはないな」
五
日用の買物に下僕が出るだけで、家人は一歩も外出できないし、親の死はべつだが、親族知友との往来も禁じられる。庄兵衛の云った島流しとは少しも誇張ではなく、その字義どおりの生活が続いた。家禄を削られたから実収入は約百石になったが、他家の交際もないし余分の入費は不用なので、家計が苦しいようなことはなく、ただ、なにもしないで閉居していることに慣れるだけが、なんにたとえようもなく苦しかった。
五十日ころがもっともひどかった。神経が苛だって食欲もなく、夜も眠れず、些細なことに怒って妻を叱りつけたり、物を投げたりした。
「伊原はどうしたんだ」と突然どなりだすこともあった、「生きているのか死んだのか、自分で事を起こし、迷惑をかけないと云いながら、その結果はこのありさまじゃないか、これでも迷惑をかけないというのか」