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じゅうはちじょうおつ
十八条乙
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,127 字 · 26 页
七
」
「御家法、――」庄兵衛は詰めよるように反問した、「動かせない御家法とはどういうことだ」
あやは封書を出して良人に渡した。「伊原さまが写して下すったものです」
庄兵衛はすぐに披いてみた。この藩の家法は四十二条ある、それは第十八条の乙項を抜き書きにしたものであった。
七
要旨は「お為筋により不埓の行動をした者は、その趣意が藩家お為にかなった場合、不埓の行動による罪を赦免されることがある。これに対し、その筋にもあらず、お為の趣意なくして不埓の行動を助けた者は、お為にかなわざるゆえに、罪もまた赦されることはない」というのであった。――つまり、政権転覆を計った者は、政権の転覆によって罪を赦されるが、その計画に加わらなかった者が、計画者を助けた罪で処罰された場合には、その罪は計画そのものとは無関係だから、政権転覆が成功しても、赦されることはない、というのだ。庄兵衛は怒って、その抜き書きを引き千切った。
「御家法がなんだ」と彼は叫んだ、「あの夜かれはなんと云った、もし自分が江戸へ脱出できなければ、計画のすべてがだめになる、なんとしてでも生きて脱出できるように、方法を考えてくれと云ったではないか」