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じゅうねんのおもいで
十年の思い出
宮本 百合子
「文章倶楽部」1926(大正15)年8月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,123 字 · 7 页
です。そういう意味での不正確さは、時日のことばかりに限らず、本を読む上にも、仕事をする上にも、私の生活全体の上に、あるのかも知れません。
私が一番初めに読んだのはポーの小説でした。誰も傍から教えてくれたり、系統だててくれたりするような親切な人を持たなかった私は、手近に手にとれるものから読んだのでした。その次には、ダヌンチョオ、ワイルドという順でした。それは私が十三四歳の時分で、その頃非常にダヌンチョオが流行っていましたので、かなり沢山読みました。ロシヤの作家のものは全体に好きですけれども、やはりこの人のものだけというようなことはありません。私はまだ誰の作を読んでも、全体的に感心したり、好きになったり、無条件でその人のものを読むようなことはありませんでした。以前ロマン・ローランの「ジャン・クリストフ」を読んでかなり感心したことがありました。そしてまた今、「マソー・レンチャンテッド」(訳名アンネットとシルビー)を読んでおりますが、まだほんの初めですから、はっきりしたことはいわれませんが、私はこの作者の見方や、感じ方についても、或る疑いを抱いております。