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はんのすけしゅうげん
半之助祝言
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,997 字 · 44 页
「まあお嫁入りまえに……」
夫人は深い太息をして、きれいな指で眼がしらを押えた。するとそのとき、廊下に足音がして、お母さま、と呼ぶ声がした。夫人はちょっとまが悪そうに、居ずまいを直して、おはいりなさいと答えた。
障子をあけて、際立って美しい令嬢が、尾羽根を拡げた孔雀のように、気品高く、しずしずと入って来た。
令嬢は背丈も、躯の恰好も申し分がない。眼鼻だちは母親に似て遙かに美しく、凄艶といいたいくらいである。まったく非の打ちどころのない美貌であるが、唯一つ、自分で自分を美しいと認めていることが、(誰にもすぐわかるように)欠点といえばいえた。
「ちょうど宜しかったわ、おひきあわせしましょう」笙子嬢が坐るのを待って、夫人がそう紹介した。
「――こちらは江戸からいらしった折岩半之助さま、それからこれはむすめの笙子でございます」
半之助は相手を見てやあと云い、笙子嬢はつんとして、僅かに眼だけで会釈した。躯はもちろん頭も動かさない、半之助はさも訝しいという表情で、夫人のほうへ訊いた。
「するとこの方はお妹さんですか、それともお姉さまのほうですか」
「どうしてですの」