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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页

青空文庫

そうして本邸との間には、共通の警鐘が設けられてあった。

別荘の人達はこれらの建物を、四つの出邸と呼んでいた。この四つの出邸には、いずれも屈強な男達が、三十人余りもこもっていた。すなわち警護の者どもであった。

なおこの他にも厩舎とかないしは納屋とか番小屋とか細々しい建物は設けられていたが目ぼしい物は見当たらなかった……構内を囲んだ堅固な土塀。土塀の外側の深い堀。堀にかけられた四筋の刎ね橋。そうして邸内至る所に、喬木が林のように立っていた。南にあるのが表門で、北にあるのが裏門であった。その裏門を半町ほど行くと、大洋の浪岩を噛む、岩石峨々たる海岸であり、海岸から見下ろした足もとには、小さな入江が出来ていた。入江の上に突き出しているのが、象ヶ鼻という大磐石であった。

観世銀之丞人数をくばる

「人数は全部で五十人、このうち女が十人いる。非戦闘員としてはぶかなければならない。九郎右衛門殿と六蔵殿とは、不具と病人だからこれも駄目だ。正味働けるのは三十八人だが、このうちはたして幾人が武術の心得があるだろう?」

それを調べるのが先決問題であった。で、ある日銀之丞は、それらの者どもを庭に集めて、剣術の試合をさせて見た。