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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页
それから小石を拾うので。そうして投げつけるのでございますよ。へえ、百発百中で、それこそ今日まで、一度だって、外れたことはございません」「おおそうか、それは偉いな」
こういうと周作は立ち上がった。「甚内、ちょっと道場へ来い。……これ誰か外へ行って小石を二、三十拾って来い」
で、道場へやって来た。
「さて、甚内、お前の足もとに、小石が二、三十置いてある。それを俺に投げつけるがいい」
「へえ」といったが甚内は、困ったような顔をした。
「それは先生様いけません」
「なぜな?」と周作は笑いながら訊いた。
「もってえねえ話でございますよ」
「そうさ、一つでも中ったらな」「では中らねえとおっしゃるので?」「ひとつお前と約束しよう。お前の投げた石ツブテが、一つでも俺に中ったら、この道場をお前に譲ろう」「こんな立派な道場をね。……そうして先生はどうなされます」「俺か、アッハハハ、そうしたら、武者修行へでも出るとしようさ」「それはお気の毒でございますな」「そうきまったら投げるがいい」
北辰一刀流手裏剣用の武器
「へえ」といったが甚内は、なお何か考えていた。「で、どこを目掛けましょう?」