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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页
「そっくり棟梁でございますよ」「アッハハハ、それは有難い。実はな、森田屋、この風で、海賊を釣ろうとしたやつさ」意味ありそうにきっといった。
「ええ、海賊でございますって? おお、それじゃわっちたちを?」さすがにその眼がギラリと光った。
「うん、まずそうだ。そうともいえる。がまたそうでないともいえる」謎めいたことをいいながら、一膝グイと進めたが、「森田屋、正直に話してくれ。船を造っちゃいないかな?」「ええ、船でございますって?」森田屋はあっけにとられたらしく「それはなんのことでございますな?」「ご禁制の船だよ。ご禁制のな」「へえ、それじゃ千石船でも?」「どうだ、造っちゃいないかな?」
「とんでもないことでございますよ」森田屋清蔵は否定した。
「ふうむ、そうか、造っちゃいないのだな。……いやそれを聞いて安心した。それじゃやっぱり他にあるのだ。……まるまる目違いでもなかったらしい」どうやら安心をしたらしい。
莫大もない赤格子の財産
森田屋清蔵には平八の言葉が、どういう意味なのか解らなかった。で、ちょっとの間だまっていた。
が、やがて意味がわかると、
「ええええ、お目違いじゃございませんとも」