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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

越後獅子の鼻は人間が怒った時の恰好を形どって作ったものであろう。それでなくてはあんなに恐しく出来るものではない。

「いえ泥棒ではありません。落雲館の生徒です」

「うそをつけ。落雲館の生徒が無断で人の庭宅に侵入する奴があるか」

「しかしこの通りちゃんと学校の徽章のついている帽子を被っています」

「にせものだろう。落雲館の生徒ならなぜむやみに侵入した」

「ボールが飛び込んだものですから」

「なぜボールを飛び込ました」

「つい飛び込んだんです」

「怪しからん奴だ」

「以後注意しますから、今度だけ許して下さい」

「どこの何者かわからん奴が垣を越えて邸内に闖入するのを、そう容易く許されると思うか」

「それでも落雲館の生徒に違ないんですから」

「落雲館の生徒なら何年生だ」

「三年生です」

「きっとそうか」

「ええ」

主人は奥の方を顧みながら、おいこらこらと云う。

埼玉生れの御三が襖をあけて、へえと顔を出す。

「落雲館へ行って誰か連れてこい」

「誰を連れて参ります」

「誰でもいいから連れてこい」

下女は「へえ」と答えたが、あまり庭前の光景が妙なのと、使の趣が判然しないのと、さっきからの事件の発展が馬鹿馬鹿しいので、立ちもせず、坐りもせずにやにや笑っている。