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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

「あなたはどうです」

「僕ですか、一竿風月閑生計、人釣白蘋紅蓼間」

「何ですかそれは、唐詩選ですか」

「何だかわからんです」

「わからんですか、困りますな。寒月君は出てくれるでしょうね。今までの関係もあるから」

「きっと出る事にします、僕の作った曲を楽隊が奏するのを、きき落すのは残念ですからね」

「そうですとも。君はどうです東風君」

「そうですね。出て御両人の前で新体詩を朗読したいです」

「そりゃ愉快だ。先生私は生れてから、こんな愉快な事はないです。だからもう一杯ビールを飲みます」と自分で買って来たビールを一人でぐいぐい飲んで真赤になった。

短かい秋の日はようやく暮れて、巻煙草の死骸が算を乱す火鉢のなかを見れば火はとくの昔に消えている。さすが呑気の連中も少しく興が尽きたと見えて、「大分遅くなった。もう帰ろうか」とまず独仙君が立ち上がる。つづいて「僕も帰る」と口々に玄関に出る。寄席がはねたあとのように座敷は淋しくなった。

主人は夕飯をすまして書斎に入る。妻君は肌寒の襦袢の襟をかき合せて、洗い晒しの不断着を縫う。小供は枕を並べて寝る。下女は湯に行った。

呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。