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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
「オール讀物」1957(昭和32)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,375 字 · 36 页
羅のアユチャに行き、オロンという高位についているというようなことだった。
苦労してはるばるやってきたが、ここでも助左衛門にめぐりあうことができなかった。暹羅にいると聞いたうえは、暹羅まで行くしかないが、そうだとすれば、破船の中にある千貫目の銀が必要になってくる。角屋七郎兵衛の北の方は安南王族院氏の出で、安南では権勢を持っているということなので、破船の取得を願いあげた。さっそくに許可がおりたので、金箱引揚の事務を監督するため、翌、慶長十八年の春までフェイフォに滞在した。
五月七日、フェイフォを発ち、二十三日に暹羅のバンコックに着いた。アユチャの日本人町には二千人の日本人が住みついていて、城井久左衛門が差配していた。助左衛門の所在をたずねると、柬埔塞にいるはずだということで、アユチャにその年の冬まで滞在して、翌、慶長十九年の二月十八日、暹羅船でバンコックを発ち、同、二十七日、柬埔塞に行った。ピニャルーの日本人町には五百人の日本人が居付いていて森嘉兵衛が差配していた。
助左衛門のことをたずねると、つい先月、みまかったということであった。結局のところ、吉之丞はこの世では助左衛門にめぐりあうことができなかったのである。