轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
「オール讀物」1957(昭和32)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,375 字 · 36 页
五
干潮の時間なのだとみえ、すこしずつ水位が下って、二十日ぶりに甲板があらわれだした。風も無く、岸波もおさまり、こういう凪が二日もつづいたら、なんとか助かるかもしれないという希望を感じさせた。
吉之丞は安南人やマレー人の水主のすることを見ていたが、むかしの御朱印船で水主どもを追いまわした経験から推して、グッタリと長くなっている連中も、案外、弱っていないことを看破した。
モニカを無事に岸まで送り届けるには、どのみち、できるだけ大勢助人があるほうがいい。使えそうなのが六人いる。六人が手を揃えて庇ってやったら、泳ぎつかせることができるだろう。
吉之丞はマレー人のいるところへ行って、あの娘を陸へ渡すのだが、力を貸してくれないか、骨折賃に錠銀を一つずつやるが、と相談を持ちかけると、マレー人たちは異議なく承知した。
五
四時すぎに満潮になった。
モニカは襦袢と踏込だけの軽装になって甲板へ降り、吉之丞が行くのを待っていた。吉之丞はモニカのそばへ行って、
「こやつどもがお世話しますけん、ご心配なく……おいもすぐあとから行きますたい」
繩の垂繩をつけた十尺ばかりの角材を海におろし、両端をマレー人に支えさせておいてモニカを水に入れた。