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わしゅうちめいだん
和州地名談
柳田 国男
「奈良叢記」駸々堂書店、1942(昭和17)年1月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,320 字 · 14 页
それに引き当てたらできた時期はほぼ判る。信仰にも推移があって、神仏の名からでも、またこれに伴なう行事慣例の特徴からでも、起りの察せられるものがいくらもある。田地の一団にそれぞれの佳い名を附け、または柿の本とか松の本とか、目に立つ老樹によって屋敷を呼ぶなどという風習には、よほど早い頃に始まりかつ近世まで続いているものもあるらしいが、これとてもよく見れば植物の種類、それと場処との関係、またはこれを記念する言い伝え等に、おのおの時代の異なる姿が認められるのではないかと思う。
それよりもさらに概括して言い得ることは二つ、第一に地名の意味すなわち本の趣旨が、古くなるほどだんだんと不明になる。従って何とも解しにくい地名が、だいたいに古いものと見てよかろう。最初から意味なしに人が名を下そう道理はなく、いずれは日本語であって国栖や土蜘蛛言葉の伝わるものは稀有だったろうが、それがこじつけようにもほとんと道がなく、是非なくそのままで暗記しているというのは、一応は古くなって元の単語が消え、もしくは知らぬ人の片こと、言いそこないが、通用しているものと認めてよい。日本では武蔵・出雲という類の国の名の大部分、その他に有名な名称が数十あって、夙くから問題になっているが、これらは大切な国語史の資料として、別にまた広汎な比較方法により、