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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
永井荷風『問はずがたり・吾妻橋 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:吾妻橋、浅草むかしばなし、亜米利加の思出、或夜、噂ばなし、買出し、心づくし、細雪妄評、出版屋惣まくり、にぎり飯、冬日の窓、墓畔の梅、羊羹、老人、渡鳥いつかへる。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,586 字 · 159 页
や「金色夜叉」などを無断でそれぞれの全集に編入した弱身が在った為だと云う話です。それですから震災後改造社が一円全集本に私の「あめりか物語」を入れて出すと忽版権侵害の苦情を云立て裁判沙汰にすると云う騒になったのです。
博文館から著作を出版させてその為に後でゴタゴタしたのは私ばかりではありません。北原白秋も迷惑をしたことがあったようです。巌谷小波先生は館主大橋新太郎とは友人の関係もあったし三十年間も編輯局に居られたにも係らずお伽噺の全集か何かを他の本屋から出版された時訴えられて莫大の損害を蒙った事があります。「金色夜叉の真相」と云う書はこの損害を償うために病中に執筆されたものです。長年その店のために尽力された人に対しても金の事になると直に訴訟沙汰にするのは言語道断です。博文館に限らず店が大きくなるとどの本屋も金には却てきたなくなるようです。冨山房も大きな本屋ですが私が曽て春陽堂から出した「下谷叢話」を是非出さしてくれと云うから改訂して出すと、後から郵便で出版契約書を送って来て印をおせと云うのです。契約書を見ると本屋の出版権を認める事、十五年間他の書肆から出すことを禁止する事と云うような条件が書いてあるのです。