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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

永井荷風『問はずがたり・吾妻橋 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:吾妻橋、浅草むかしばなし、亜米利加の思出、或夜、噂ばなし、買出し、心づくし、細雪妄評、出版屋惣まくり、にぎり飯、冬日の窓、墓畔の梅、羊羹、老人、渡鳥いつかへる。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,586 字 · 159 页

青空文庫

私は博文館で懲り懲りしていますから早速弁護士を頼んで掛合って貰い先今日までのところでは別に損害は受けていません。三省堂は同じ神田の教科書屋ですが私の物を何かに引用したからと云って礼金を贈ってくれた事がありました。

兎に角小説は芸術的感興でかくものですからそれを本にして出版するのも矢張り芸術的興味に基くものでその版権がどうだこうだと云って裁判沙汰にするのは迷惑千万な話です。私がこれまで関係した本屋で私の方から今でも感謝しているのは籾山書店です。籾山書店と知合になったのは明治四十三年に雑誌「三田文学」の創刊される時でした。初め雑誌の売捌方を依頼する思わしい本屋が無くて困っていたのです。上田敏先生は日本橋角の大倉はどうだろうと云われたのですが森先生はひどく反対でした。それでも編輯も売捌も本屋の手を借りずに一切三田文学会でやろうと云う話になったのですが突然籾山書店が現れて万事私の云う通にすると云う約束をしてくれたのです。三田の文学がその後世に認められるようになったのは籾山書店の尽力の結果です。籾山書店は一しきり森先生の著作をはじめ私のものも単行本にして出しましたが大正七、八年頃から出版を止めて売捌店になりました。