轻松读懂日语经典作品
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うそアつかねえ
嘘アつかねえ
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,523 字 · 24 页
客はたいていがふと紛れこんで来たといったふうな者ばかりで、長い馴染らしい者はなかった。馬道の通りにも夜明しの飲屋がある。安くて美味い酒肴があって、給仕に小女などを置いている店が、とびとびに四五軒はあった。場所柄もあるだろうが、それらの店では客はだいたい馴染が多く、客同志で話したり唄ったり、陽気に飲んで酔うといったふうであった。しかし「やなぎ屋」の客は殆んどが一度きりであった。そして信吉が初めてとびこんで来たときのように、それぞれが暗い重苦しいかげをもっていた。
「――おやじ、強いのはねえか」
ぶすっとそんなことを云って、濁酒に焼酎を入れたのを取って、それをすぐには飲もうともせず、蒼黒いような疲れた顔を俯向けて、なにかぶつぶつ独りで呟いたり、なんども深い太息をしたりする。それから突然その酒を呷り、銭を投げだして、暗い夜半の巷へ消えてゆく。……そういった者が多かった。
「いまの男は首でもくくるんじゃないのか」
信吉は半ば冗談によくそんなことを云った。爺さんはたいがい気のない相槌をうつか、にやにや笑うくらいのものであるが、ときには独り言のような調子で、「――なあに、珍しかアありませんや」