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しじゅうふわく
四十不惑
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,633 字 · 26 页
覚えがいゝ。
「とても張合のあるお嬢さんよ」
と妻が褒めた時、僕は態と異議を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)んだ。
「しかしワンピースでお茶をやるなんか打ちこわしだよ。感心しない」
「それはそうね。私も考えています」
「和服で来るように注意してやろうか?」
「黙っていて御覧なさい」
「何故?」
「御自分で気がつきますよ。頭のいゝ人ですから」
果して、小柴さんは秋から和服で来るようになった。その第一日に妻が僕を茶の間へ呼んで、
「あなた、どう?」
と和服姿の小柴さんを紹介した。
「これは/\」
「洋装もお似合いですけれど、和服は又一段よ。あっちを向いて御覧なさい」
「はあ」
「こっちを向いて」
「ハッハヽヽ。これはいゝ」
と僕は調子づいた。
もう一方、僕の英語講座は八月から十月まで続いた。考えるところあって、初めから三月と限ったのである。先ず小説を読みたいなぞとは以っての外だと叱り置いて、教科書は極めて簡易なものを選んだ。生徒の力が弱い上、先生が自信を欠く。
それでもタイピスト達は大喜びだった。僕も教えるからには恥をかきたくない。そこで初めの中は双方意気込んでいたが、回を重ねるに従って、だれて来た。