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とさのくにばしら
土佐の国柱
山本 周五郎
「読物文庫」1940(昭和15)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,375 字 · 35 页
八
小弥太の凄じい手並に圧倒されて、じっと呼吸を計っていた十郎左が、ようやく殺気の盛上って来た様子で、大きく一歩進み出る。……そのとき、表の方から走せつけて来る者があった。
「待て、十郎左、勝之助待て!」
呼びかけながら近寄ったのは堂上喜兵衛であった。……息をはずませながら近寄った彼は、茫然と立っている九郎兵衛と、月光の路上に倒れている勝之助、甚三郎の二人を見て、
「しまった、遅かったか」
と呻いた。……同時に小弥太が、
「大丈夫、峰打ちだ」
と云った。
「……十郎左を止めて呉れ」
「おお、池藤、貴公だったのか」
喜兵衛は云いながら間へ割って入った。
「貫島、刀をひけ、いいから刀をひくんだ。……軽はずみなことをしてはいかんと申したのに、年甲斐もないぞ」
「我々は待ち切れないのだ。もう一刻も」
「仔細があるんだ。兎に角刀をひけ」
十郎左は黙って刀をおろした。
「ここは拙者が預る」
喜兵衛は振返って、
「話はあとで聞こう。貴公はいない方がいい」
「そうか、では後に」
そう云って、小弥太は大剣を納めた。
八
それから三日めの夜。
小弥太の居間に、堂上喜兵衛、渡辺勝之助、貫島十郎左の三人が集っていた。